転送量はVPS込みで1桁〜2桁安い
Google Cloudのエグレスは、プレミアムティアで1GBあたり0.12ドル(2026年5月の値上げ後)です。Cloud Runの無料枠は月1GiBのみで、しかも北米向けの通信に限られます。画像配信やAPIレスポンスが多いサービスでは、この転送量課金が積み上がりやすい部分です。
VultrはVPS1台につき1〜10TBの転送量があらかじめ含まれており、超過分も1GBあたり0.01ドルです。Akamai Cloud(旧Linode)はさらに太く、1〜20TBの転送量がアカウント全体でプールされ、超過は1GBあたり0.005ドル。オブジェクトストレージも1TBまでの転送が無料に含まれます。どちらもGoogle Cloudのエグレス単価より1桁から2桁安く、転送量が主なコスト要因になるサービスでは無視できない差です。
マネージドDBはどちらも公開料金表がある
DBまで含めて比較しても、両者とも料金は事前に確認できます。VultrのManaged Database(PostgreSQL/MySQL/Redis)は、Starterプランが月15ドルから、標準プランが月60ドルから、高可用性プランが月75ドルからです。
Akamai CloudのManaged Database(MySQL/PostgreSQL)も公式サイトに料金表があります。共有CPUプランなら1GBノードで月16ドルからと、Vultrの入口プランとほぼ同水準です。専有CPU(第7世代AMD EPYC)のG7プランになると4GBノード1台構成で月81.60ドルからと上がりますが、こちらも見積もり依頼なしで金額を把握できます。入口の価格帯はほぼ横並びなので、スペックを上げたときの伸び方や、後述の転送量の差で選ぶ方が実態に合います。
両方とも東京・大阪リージョンがあり、Terraformで管理できる
「海外の安価なクラウド」と聞くと通信の遅延が気になりますが、VultrとAkamai Cloudはどちらも東京・大阪の2リージョンを日本国内に持っています。レイテンシが問題になりにくく、日本向けサービスの公開先としてそのまま検討できます。
この手引が一貫して重視しているIaCの観点でも、どちらも公式Terraformプロバイダー(vultr/vultr、linode/linode)が提供されており、VMの作成からTerraformで一貫管理できます。この手引のIaCの全体像で説明している「Terraformで箱を管理する」という考え方を、そのままVPS本体にまで広げられる点は、公式プロバイダーがまだベータ段階の国内VPSには無い強みです。
GCP・AWSとの比較で選ぶ
VultrとAkamai Cloudの入口価格やマネージドDBの料金は、実のところ大きくは変わりません。それよりも判断材料になるのは、GCPやAWSとの対比です。GCPはCloud Runの無料枠こそ太いものの、転送量は1GBあたり0.12ドルで、無料枠も北米向け月1GiBだけです。AWSはこの手引のAWS編で触れているとおり、後継のECS Express ModeもFargate上で動く以上、永続無料枠自体がありません。転送量やコンピュートの単価をコストの主軸に据えるなら、VultrかAkamai Cloudのどちらかを選ぶ時点で、GCP・AWSよりまとまった差がつきます。
VultrとAkamai Cloudのどちらを選ぶかは、正直なところ好みや細かな用途差の範囲です。転送量の込み容量を最優先するならAkamai Cloud、DBのプラン構成の分かりやすさを重視するならVultr、という程度の違いにとどまります。コスト最適化という観点では「GCP・AWSか、Vultr・Akamai Cloudか」という一段上の選択の方が効きます。