AI個人開発とは
作りたい人自身がAIを相棒にしてシステムを形にする方法です。ここでいう「個人開発」には、一人で作るWebサービスだけでなく、業務をよく知る担当者が部署や少人数チーム向けに作る内製システムも含みます。エージェント型のAIは、プロジェクトを読み、複数ファイルの実装や修正、コマンド実行、テストまで進められます。
ただし、AIが正しい業務仕様を自動的に決めるわけではありません。「誰が、何のために、何を入力し、何を表示するか」は人が決めます。全社規模で始めず、一つの業務や部署から小さく作り、動作を確認しながら広げるのが基本です。
開発から公開までの流れ
作りたいものを文章にする
利用者、画面、保存する情報、権限、完成条件を書き出します。
AIに小さく作らせる
一覧、登録、ログインなど、確認できる単位に分けて実装します。
手元で動作確認する
正常な操作だけでなく、誤入力や権限の違いも試します。
自動テストを残す
重要な計算や権限判定をユニットテストで繰り返し確認します。
本番へ安全に配置する
テスト合格後に、HTTPS・バックアップ・監視を備えた環境へ反映します。
技術スタックは「一例」として固定する
AIは選択肢を増やすほど構成をぶらしやすくなります。最初は代表的な一組を決めると進めやすくなります。ただし、Next.jsがすべての用途に最適という意味ではありません。
Git
コードの変更履歴を保存し、失敗した変更を確認・復元します。
WSL
Windowsの中にLinux開発環境を用意し、本番環境との差による不具合を減らします。
PostgreSQL
顧客や申請など、検索・更新する業務データを保存します。
Drizzle ORM
TypeScriptからPostgreSQLを操作します。SQLに近い書き方なので、AIと人がクエリを追いやすく、性能調査や改善にもつなげやすい選択肢です。
公開先はここでの自前サーバー構成だけではありません。Cloudflare WorkersやGoogle Cloudなど、無料枠の性質が異なる選択肢を技術記事一覧でまとめて比較できます。
Webアプリの本番環境へ、開発環境を近づける
この手引では、Webアプリやモバイルアプリのバックエンドを、Linuxのクラウドサーバー上でNode.jsサービスとして動かす構成を例にしています。この場合、Windows上だけで開発すると、ファイル名の大文字・小文字、パスの書き方、改行コード、権限、シェルコマンドなどの違いにより、手元では動いたのに本番では動かないことがあります。
開発用PCがWindowsの場合は、WSL上で開発すると本番との環境差を小さくできます。AIコーディングエージェントもWSL内で動かし、ソースコード、Git、Node.js、パッケージ、テストを同じ環境へ揃えるのが基本です。AIだけをWindows側で動かすと、パスやコマンド、利用するツールの実体が食い違いやすくなります。
VS CodeやCursorなどの画面はWindows側で動かしても構いません。WSL接続でプロジェクトを開き、ターミナルとAIエージェントの処理をWSL内で実行します。Next.js自体がLinux専用という意味ではなく、ここでは公開先に環境を合わせることを目的としています。最初からLinuxまたはmacOSを使っている場合、WSLは不要です。
DB変更はDrizzle Kitのマイグレーションで残す
この手引の推奨例では、Drizzle ORMとDrizzle Kitを使います。「顧客テーブルに電話番号を追加する」といった構造変更からSQLマイグレーションを生成し、内容を確認してGitへ保存します。開発環境と本番環境の食い違いを減らし、変更理由を追えるようにします。
本番へ適用済みのマイグレーションは後から書き換えず、修正が必要な場合は新しいマイグレーションを追加します。本番DBを手作業だけで変更し続けないことが重要です。
可能な範囲でユニットテストとSASTを取り入れる
AIが作ったコードは、見た目が動くだけでは十分ではありません。金額計算、入力検証、権限判定など重要な処理には、可能な範囲でユニットテストも同時に作らせましょう。
あわせて、ソースコードを実行せずに脆弱性や危険な書き方を調べるSAST(静的アプリケーションセキュリティテスト)も取り入れましょう。専用ツールによる検査結果をAIに確認・修正させ、再度検査する流れにすると、AIだけに安全性を判断させるより再現性を高められます。
画面を通した主要操作にはE2Eテスト、コード品質にはLintや型チェック、利用ライブラリには依存関係の脆弱性検査も組み合わせます。可能であれば、これらに合格したことをデプロイ条件にします。
作ることと、安全に動かし続けることは別
手元で動いても、そのまま業務利用を始めるのは危険です。本番にはHTTPS、認証、DB保護、バックアップ、監視、更新と復旧の手順が必要です。公開前に確認する内容は、AIで作ったアプリのセキュリティと本番公開チェックリストへまとめています。AIによる業務効率化と運用・セキュリティの詳細もご覧ください。
AI開発よろず相談
AIエージェントを活用した開発で判断に迷ったときに、メールで相談できるスポットサービスです。ユニットテストやセキュリティチェックの進め方、アーキテクチャ、データベース、公開・運用設計などについて、問題を整理し、対応方針をご案内します。
1チケット 5,000円(税抜)
相談テーマ1件を1チケットとして扱います。1通のメールに独立した相談が複数含まれる場合は、着手前に必要なチケット数をご案内します。
実作業は別途
AIツールの基本操作、プロンプトの代筆、コード修正、個別の検証・詳細調査、設定変更は含みません。必要な場合は別途お見積もりします。